矯正しているのに歯が動かない?!
矯正しているのに歯が動かない?!
皆さんこんにちは。コーディネーターの河合です。
歯並びやかみ合わせを整えるための歯科矯正。
インターネットで矯正治療について検索すると、歯が動いていないがこれって大丈夫?などの投稿をよく目にします。
歯を動かしているはずなのに、変化がないと不安になりますよね。
今回は歯がなかなか動かない原因になり得ることについてお話したいと思います。
そもそもなぜ歯を動かすことができるのでしょうか?
歯の周りには、歯を支えている骨があります。そして骨と歯の根の間にはクッションの役割を果たしている歯根膜(しこんまく)という薄い膜があります。
例えば歯を右に動かす時は、歯の右側に力がかかるようにします。そうすると右側の歯根膜が縮み周囲の骨を溶かしていきます。反対に左側の歯根膜は引っ張られて、新しい骨を作っていきます。
つまり、歯を支えている右側の骨が吸収され、左側の骨が作られる為、歯は少しづつ右に動いていくのです。
このように矯正治療は、骨が溶け、作られるという代謝の仕組みによって歯を動かしているのです。
歯がなかなか動かない原因になり得ること
-
舌癖(ぜつへき)
矯正治療では装置を使って歯を動かしますが、舌はそれよりも圧倒的に強い力を持っています。
舌の癖があると、飲み込む時や話す時に舌が歯を強く押し返したり、上下の歯の間に挟まったりします。そうすると装置を使用していても動きが妨げられ、中には動かしたい方向と反対に動いてしまうこともあります。
舌癖がある方は、筋機能療法というトレーニングを併用し、飲み込み方の練習、舌や唇の筋力アップを行います。筋機能療法について詳しくはこちら
※舌が間に入ってくるのでかみ合っていません
-
顎間ゴムをかけていない
歯が動くには代謝の仕組みを利用していますので、急激に力をかけてもあまり効果がありません。それほど強くなくても、持続的に力がかかっているというのが動きのポイントになります。
矯正治療中にはご自身で顎間ゴムをかけていただくことで、動きのコントロールをしていきます。装置はゴムがかかった状態で動くことを考えて調整していますので、かけていないと思わぬ動きをする事があります。
また、ゴムを外すと歯はそこでとどまるのではなく、必ず後戻りしようとします。
面倒に感じる事もあるかもしれませんが、指示された場合はしっかりと顎間ゴムをかけることが治療終了までの近道になります。
※ゴムのかけ方や種類はその時によって変わります
-
骨性癒着
骨性癒着とは何らかの原因で歯根膜が失われ、歯の根と骨がくっついてしまっていることを言います。原因は様々ですが、外傷によりおこってしまうこともあります。
一時的に強い力がかかると、抜けたりグラグラしていなくても歯根膜が損傷している場合もあります。
骨性癒着は実際に歯を動かしてみないと確実にはわかりません。以前に歯を強くぶつけたことがあるなどは、事前に歯科医師に伝えておくことをお勧めします。
-
歯の根の移動をしている
矯正治療では、見えている部分の歯だけを動かしている訳ではありません。歯肉の中にある歯の根の位置も動かして調整しています。
治療途中で歯の根の移動をしたり、角度を変えたりする調整の時は動きがダイナミックではないので、動いていないと感じる方もいらっしゃいます。
この場合は他の原因とは違い、動いていないように見えるだけですのでご安心ください。
上記だけでなく、骨格によるものや歯ぎしり、くいしばりなども動きに影響することがあります。
歯は急激に動きませんので、矯正治療はある程度の時間を要します。
その中で気になることや、心配なことがあれば質問、ご相談いただくことをお勧めいたします!