初診時年齢16歳男性。顎歯列の幅が狭く犬歯、小臼歯部は交叉咬合となっており小臼歯以前の各歯は嚙み合わず開咬となっていた。
上顎歯列の幅は平常時に舌の位置が低いと歯列が内側から舌によって押される力が弱くなるため充分に発育せず狭くなる傾向がある。また、舌の位置が低いことで嚥下時(唾液や食物を飲み込む)に上下の歯の間に舌が介在し、しっかり嚙み合わず開咬となる。このため拡大装置を使用して歯列の拡大処置を行うとともに、開咬の改善とともに拡大した歯列の安定性を高めるため舌が口蓋に十分に挙上できるようにすることを目標に筋機能療法(舌のエクササイズ)をおこなった。歯列の拡大処置が進んだところで上下顎に唇側(表側)マルチブラケット装置に矯正用ゴムを併用して治療を行った。噛み合っていなかった小臼歯以前の各歯がしっかりと噛み合った。
動的治療期間は1年9ヶ月間