初診年齢28歳の女性 下顎左側第二大臼歯の近心傾斜を主訴に来院された。
口腔内を拝見すると、上顎左側犬歯が先天欠損となって乳犬歯が残存しており、レントゲン写真で根の吸収が進んでいることが分かった。上下顎前歯には叢生があり、上顎左側犬歯先天欠損を伴うアングルⅠ級叢生と診断した。前処置として下顎左側智歯(親知らず)を抜歯していただき、リンガルアーチを使用して近心傾斜した第二大臼歯を引き起こすことを行った。3か月ほどである程度引き起こせたことから、上下顎前歯の叢生の改善のため、左上乳犬歯と他は小臼歯を抜歯していただき上下顎唇側マルチブラケット装置を使用して動的治療を行った。子育て期間中で来院間隔が開くことがあったため動的治療期間は2年11カ月間を要したが、調整来院回数は21回であった。
治療を受けようと思った理由は、産後に里帰りし実家の洗面所の大きな鏡で口の中を見た時、奥歯がななめになっていることと、黒く変色していることに気が付き、近所のクリニックを受診すると、まだ20代(当時)ならインプラントじゃなく矯正をきちんとして、虫歯を治した方がいい、とすすめられたからです。
ほりいさんを受診すると、奥歯だけでなく、永久歯の欠損した犬歯と八重歯も抜いて全体をきれいにしましょうと提案され、治療を開始しました。
治療を受けてよかったことは、歯みがきに対する考え方が大きく変わったことです。治療前は、これまで大きな虫歯もしたことがなかった為歯科医院で歯みがき指導を受ける機会がなく、「虫歯もないし、適当でいいやろ」って感じでした。成人して自分のお金で矯正治療を受けることになり、自分の歯を大切にしなければ、と本気で思うようになりました。今では私にとって歯みがきの時間は、子どもたちから離れ、一人で集中しつつリラックスもできる貴重な時間になっています。